「ZURI」は、20~30代女性向けの衣料品、靴、雑貨、アクセサリーを扱うメーカー BAD(本社/藤沢市) が直営するセレクトショップ。神奈川、東京に5店舗(1店舗はFC)展開している。
「店長時代一番大変だったのが月1回の棚卸しでした。店では4、5人が1日がかりで行い、その後も差異を店長が10日かけて調べていました。」
全店の商品管理を預かる今井未知子ショップマネージャーは、自らの店長経験を振り返りながらこう語る。
通常の在庫表や日計表、店間移動表の作成はすべて手作業、売れ筋報告は売れた商品を「正」の字で集計していた。上記の作成のため店長は裏で在庫と帳票をにらむ毎日、顧客からは「店長はずっと不在なのね」と言われる始末だったという。
店頭から届く指標が多い割には本部でも正確な店頭の動向がつかめず、現状の打破にはシステム化が必須だった。
今井マネージャーがシステム選定に着手したのが2009年夏。アイルの在庫管理システム「アラジンオフィス」に決めたのは、自社に最適なシステム提案をしてくれた上に、何より「(アイルの営業担当が)しっかりと仕事の現状を聞き、分かりやすい言葉で希望を一つ一つ形にしていってくれたので、安心感があった」からだ。
システムが稼動し始めた10年3月を境に仕事は劇的に変わった。店での売上げ管理は商品清算時にラベルをハンディターミナルでスキャンして、営業終了後に電話回線でデータを本部へ送るだけだ。本部では全店からの情報を基に在庫表や売れ筋ランキングを作成、プリンターで速やかに全店に配信される。
各店では売れ筋商品を前面に出した売場づくりを進め、顧客対応に生かしている。
「リアルタイムで他店在庫もつかめるので、お客さまを待たせずご案内できるようになりました。ランキングの高い商品をトルソーに着せれば、売れ行きは全く違ってきます。」(ZURI藤沢店・宮本順子店長)
また、月1回の棚卸し業務はバーコードスキャンで完了、作業は激減した。「それに棚卸しは本当に楽になりました。」(同)と言うように、品数の多い藤沢店で長くて2時間、他店なら早ければ1時間ほどで終了。再確認作業も迅速に終了するようになった。
事務作業が激減、店長が接客に専念できる上に、SKU単位の売れ行きを正確に把握できるので、売れ筋を逃さずに追加発注し、販売チャンスを逃さない体制が整った。
その成果は如実に売上げ数字に反映される。10年SS通期では各店舗で軒並み140%を達成した。秋も好調を維持し、直近の10月では4店(FC店除く)平均で前年比158%という驚異的な伸びを示した。店舗によっては200%近く伸びている。
店間移動の適正化で期中で売り切る商品が続出、本部在庫も半減しつつある。今井マネージャーは今、11年春に向けてのMD作業中。前年同月データを基にした発注、各店期初配荷の適正化はもちろん、「店舗の詳細な商品動向をメーカー・卸部門にもフィードバック、企画内容や生産ロットの最適化に寄与できるのでは。」と意欲を燃やしている。