1993年に古着の卸・販売で創業して以来、急成長しているソラオブトウキョウ(本社/東京都渋谷区)。 ナチュラルガーリーをコンセプトに据えたオリジナルブランド「flower」が現在の主力。 実店舗を8店舗展開し、事業拡大を進める中で同社の課題となっていたのが在庫管理だった。
従来、各店の売上は閉店後にまとめて本部へ送信していた。商品発注のファックス、月5,000点仕入れる古着の店頭値付けや棚卸しも含め、本部での手入力は膨大な量に上った。さらに、以前のPOSシステムでは在庫データが見られず、顧客からの在庫問合せにもすぐに返答ができなかったという。「本部の担当者は、商品入力に丸1日かかることもあった。過剰在庫や機会ロス、入力ミスも発生しやすかった」と振り返るのは、ゼネラルマネージャーの戸田氏。データ入力を正確・省力化し、在庫を正確に把握するために、アイルのシステム導入を決意した。
2010年8月、アイルの販売・在庫管理システム「アラジンオフィス」と、それに連動した店舗管理POSシステム「アラジンショップ」を導入。店舗作業は負荷が軽減され、正確化した。WEBチーフの鈴木氏は、「販売データは、端末でスキャンすればすぐシステムに反映されるので正確。本部・各店で在庫をリアルタイムに見られるのは大きい」と話す。売上目標を達成するための戦略考案も可能になった。iPadからでも売上や在庫を見られるため、海外で仕入に携わる社長にとっても、現地での買い付け判断に大いに役立っている。
店舗では事前に入荷商品の把握ができるようになり、効果的な売場づくりが可能になった。また、全店の在庫が明確になったことで、顧客の質問や要望への対応が迅速になり、顧客満足度の向上にもつながっている。
2013年4月、同社は「CROSS POINT」はPOSシステムとの連携ができるため購買履歴も把握できる。顧客のスマートフォン・携帯電話を会員カード代わりにでき、カードのコストも不要。「手軽な導入コストも決め手だった」と戸田氏は話す。
まずは「CROSS POINT」で実店舗のポイント・顧客管理を始め、その後、ECサイトのポイント・顧客情報と一元化させた。購買データを分析すると、半年間の平均購買回数に関して、店舗だけの利用客は1.63回、ECサイトだけの利用客は1.55回に対して、店舗とECサイトの両方の利用客は4.1回であった。店舗とECサイトの両方を買い回る顧客の購買回数がとても高いことが分かった。「実店舗とECサイトの顧客情報を一元化したことによってこのような数字が見えてくると、誰を優待すべきかが分かり、どのような施策を行うかなどを考えられる」と鈴木氏。顧客情報の多角的な分析をして、効率的な販促活動ができるようになったという。
2014年12月には会員向けのアプリをリリース。会員はスマートフォン上で購入履歴やポイントが確認でき、店舗側は会員に向けてプッシュ配信で最新情報を送ることができる。アプリを介して顧客とのコミュニケーションを更に増やしていくことができるようになる。店舗とECの両面での分析をもっと進めて施策を打っていく考えだ。
今後もアイルのサポートを受けながら、より顧客にとって利便性が高く、ブランドを身近に感じてもらえる環境を整えていく。